パニック障害をセルフチェックする4つのステップと心理検査

アイコン 2016.5.31 パニック障害・広場恐怖
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パニック障害とは、突然に強烈な恐怖感や不安感におそわれるパニック発作を特徴とする病気です。

パニック障害は有病率が2~3%といわれていて、少ない病気ではありません。メンタルの病気とは無縁そうな方も発症することのある病気です。

パニック障害は比較的に症状が目立つので受診には繋がりやすい病気ではありますが、身体の病気を心配して内科などに受診される方も多いです。内科の先生から紹介いただいて精神科や心療内科を受診される患者さんもいらっしゃいます。

いきなり精神科や心療内科を受診するのは躊躇ってしまう方もいらっしゃるでしょう。ここではそのような方が、パニック障害かどうかセルフチェックできるように試みました。

最近改訂されたばかりのアメリカの診断基準(DSM‐Ⅴ)をもとに、順序立ててパニック障害かどうかをチェックしていただければと思います。そして最後に、パニック障害の心理検査をご紹介していきます。

 

1.パニック障害は早く治療することが大切

パニック障害は、広場恐怖が合併しない段階で治療していく方がよくなります。できるだけ早く治療していきましょう。

パニック障害は、思春期から青年期にかけて増加していく病気です。パニック障害の平均発症年齢は、20~24歳になります。

パニック障害は、いきなりパニック発作に襲われる患者さんもいらっしゃいますが、多くの患者さんでは小さな発作が認められます。症状限定発作とよばれていて、何だか胸がざわついて動悸がしたり、息苦しくなったりするような発作です。

パニック発作について詳しく知りたい方は、「パニック障害の症状とは?パニック発作と予期不安」をお読みください。

このような小さな発作が悪化していき、パニック発作に発展していくことが多いです。パニック発作に襲われると、「またパニック発作が起きたらどうしよう」という予期不安にかられて生活をするようになります。

このようになると、バスや電車に乗っているとき、人込みの中など、「逃げ出せない」と感じる状況ではますますパニック発作が起こりやすくなります。そして実際にパニック発作が起きると、同じように「逃げ出せない状況」や「助けが得られない状況」に対して苦手意識が作られます。このような苦手意識を、広場恐怖といいます。

パニック発作はしっかりと治療すればコントロールすることができますが、広場恐怖を克服していくには時間がかかることが多いです。10年ほど追跡した調査では、累積回復率は広場恐怖がない場合は82%に対して、広場恐怖がある場合は42%となっています。

ですからパニック障害は、なるべく早く治療をおこなっていくことが大切です。

 

2.パニック障害のチェック①-パニック発作があるか

パニック発作は、予期しない突然の恐怖感や不安感が高まる症状のことです。「繰り返す」ことと「予期しない」ことが重要です。

パニック発作とは、数分以内にピークに達するような強烈な恐怖感を特徴としています。パニック障害と診断するためには、2つの特徴を満たしている必要があります。

一度の発作だけでしたら、いろいろな状況が重なって起こることはあります。突然のことに緊張してしまって慌ててしまったことは誰しもあるかと思います。それがひどい場合は、パニック発作の診断基準をみたすこともあるでしょう。

パニック発作では繰り返す必要があるので、2回以上の発作が起こっている必要があります。そしてもうひとつのポイントが、「予期しない発作」があることです。

予期しない発作とは、きっかけがない発作のことです。苦手なことがあってそれによって恐怖感が急激に高まる場合は、その苦手なことに対する恐怖症になります。パニック障害では、とくにキッカケがなく急に恐怖感に襲われたエピソードが必要になります。

このようなパニック発作としてわかりやすいのが、睡眠時パニック発作です。深い睡眠中に、パニック発作で突然目が覚めるのです。

パニック発作の症状としては、以下のような13の身体症状・認知的症状のうち、4つ以上を認める場合です。

3つ以下の場合は、症状限定発作といいます。症状限定発作の方も、パニック障害の傾向があると考えてチェックしていきましょう。

 

3.パニック障害のチェック②-予期不安があるか

予期不安は、いつ起こるかわからないパニック発作にとらわれていることを意味します。パニック障害と診断するために予期不安があるかどうかは重要です。

パニック障害の患者さんでは、「パニック発作が起きてしまったらどうしよう」という不安につきまとわれてしまいます。このことを、予期不安といいます。

パニック障害の診断では、この予期不安があるかどうかはとても重要です。予期不安にはいろいろなものがあります。

「命にかかわる重大な何かの病気になってしまったのかもしれない…」
「パニック発作が起きてしまったら、周りに変な目で見られてしまう…」
「パニック発作が起きたら、自分自身をコントロールできなくなってしまう…」

といった不安です。パニック発作の陰に怯えて日常生活を過ごすようになっていきます。この予期不安があると、苦手な状況を避けるようになってしまいます。回避行動をとるようになると、次に同じような状況に直面する時に予期不安が強まってしまいます。

このようにしてパニック障害の症状が悪循環していきます。このため予期不安は、パニック障害をチェックする上でとても重要なポイントです。

予期不安がないパニック発作がみられる場合は、何らかの原因があることが多いです。例えば、アルコールなどの物質関連、喘息や不整脈などの身体疾患、甲状腺疾患などの内分泌疾患などです。

 

4.パニック障害のチェック③-他の病気でないこと

不安の本質が明らかに他の病気にある時は、パニック障害ではありません。ただし合併することも多いので、パニック障害が認められるか注意深くチェックする必要があります。

パニック障害では、似たような症状がみられる他の病気を除外しなければいけません。

もしも不安発作が起こる時に決まった状況があるならば、どうして発作が起こるのか、その本質を考えていく必要があります。

ただしこのような病気でも、パニック障害が合併することがあります。とくに社交不安障害や広場恐怖症では、パニック障害の合併が多いです。キッカケのない繰り返す不安発作があるかどうかを、しっかりとチェックする必要があります。

このような不安に関係する病気だけでなく、アルコールや薬物による影響でないこともチェックする必要があります。これらを使った時だけでなく、身体から抜けていく離脱症状として不安発作が生じることもあります。

 

5.パニック障害のチェック④-広場恐怖があるか

広場恐怖症はパニック障害とは独立した病気ですが、合併することが多いです。広場恐怖症を合併するかどうかで治療も異なってくるので、チェックが必要です。

パニック障害の患者さんでは、電車やバスといった逃げ出せない状況を苦手とすることが多いです。このような「自分がコントロールできない状況」に対する恐怖を、広場恐怖といいます。

広場恐怖は、従来はパニック障害に伴う症状とみなされていました。しかしながら最新の診断基準では、広場恐怖とパニック障害は独立した病気と考えるようになりました。このため厳密にはパニック障害のチェックには関係ないのですが、合併することも多く非常に重要なので、広場恐怖症を合併しているかどうかをチェックしましょう。

広場恐怖症では、「パニック発作が起きてしまったら逃げ出せない」「パニック発作が起きても誰も助けてくれない」といった状況に恐怖があります。

具体的には、人ごみ、地下鉄や電車、飛行機や新幹線、美容院や歯医者、トンネルやエレベーター、さらには窓のない部屋などになります。診断基準では、以下のうち2つの状況を苦手としていることが求められます。

 

6.パニック障害を心理検査からセルフチェック

これまではパニック障害の診断基準をもとに、セルフチェックを試みてきました。

パニック障害にも、客観的に症状を評価するための心理検査として様々な種類のものが開発されています。その中でも2つの有名な検査と、不安の程度を数値化する検査をご紹介したいと思います。

 

6-1.PDSS(パニック障害重症度評価尺度)

パニック障害の症状の程度と生活への支障について、総合的な重症度を評価したものがPDSSです。本来は専門家が患者さんに質問する検査です。

パニック障害重症度評価尺度(PDSS:Panic Disorder Severity Scale)は、少し昔に作られた心理検査です。このため広場恐怖はパニック障害に伴うものという昔の考え方に従って作られていますが、症状の程度を知るひとつの参考になります。

PDSSは、訓練をうけた専門家が患者さんに質問することでつけていきます。患者さんは最近の1ヶ月を振り返っていただき、その状態を0~4の5段階で評価していきます。

この7つの項目をチェックすることで、総合的なパニック障害・広場恐怖症の重症度を評価していきます。

実際にPDSSを行ってみたい方は、「パニック障害重症度評価尺度(PDSS)でパニック障害をチェック」をご覧ください。

 

6-2.PAS(パニック障害・広場恐怖尺度)

パニック障害と広場恐怖の重症度を評価するために作られた心理検査です。こちらも本来は専門家が患者さんに質問する形で行っていく心理検査です。

パニック障害・広場恐怖尺度(PAS:Panic and Agoraphobia Scale)も、昔に作られた心理検査になります。現在の考え方に基づけば、パニック障害と広場恐怖症を合併する患者さんに有効な心理検査ということになります。

患者さんは最近の1週間を振り返っていただき、その状態を0~4の5段階で評価していきます。

この5つの項目をチェックすることで、総合的なパニック障害・広場恐怖症の重症度を評価していきます。

この検査も、専門家が患者さんに質問していくことで評価していくものです。ですが広場恐怖症を伴うパニック障害の患者さんでは、症状の程度をチェックする目安になるかもしれません。

実際にPASを行ってみたい方は、「パニック障害・広場恐怖尺度(PAS)でパニック障害の重症度をチェック」をご覧ください。

 

6-3.STAI(状態-特性不安検査)

不安へのなりやすさと現在の不安を点数化する心理検査です。

STAIはパニック障害に限った検査ではありませんが、不安の程度を評価するのによく使われている心理検査です。

不安は、特性不安と状態不安に分けることができます。特性不安とは、もともとの不安へのなりやすさが反映されます。状態不安とは、現在感じている不安の強さが反映されます。

それぞれ20項目の合計40項目に対して、4段階で自分にあてはまる状態を選んでいきます。全部で80点満点で評価し、男性と女性では評価基準が多少異なります。

実際にSTAIを行ってみたい方は、「不安障害や神経症をSTAI(状態-特性不安検査)でチェック」をご覧ください。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

パニック障害に限ったことではありませんが、できるだけ早く治療を開始した方が克服することができます。パニック障害は比較的症状がわかりやすいため、パニック発作が起こった方は早めに専門家に相談していただき、必要な治療をうけてください。

精神科や心療内科の受診が心配な方は、「精神科の受診のイメージと流れ」をお読みください。