不安神経症の方への家族の接し方のポイント

アイコン 2016.7.24 全般性不安障害

不安神経症はかつて使われていた病名で、現在の診断基準では全般性不安障害となる患者さんが多いです。

日常生活での慢性的な不安が絶えず、ささいなことを心配してしまう病気です。ですからともに生活する家族は、患者さんの心配と一緒に暮らしていかなければいけません。

家族から見ると、「細かなことを気にしなくてもよいのに…」と思っても、その内容は「誰にでもある不安」です。ですから不安神経症という病気と思わず、性格と感じてしまうことが多いです。

このような不安神経症の患者さんに対して、家族もどのように接したらよいのかわからなくなってしまうことも多いです。よく外来でも、「良い接し方と悪い接し方を教えてください」と聞かれることがあります。

ここでは、不安神経症の患者さんに対してどのように接したらよいのか、お伝えしていきたいと思います。

 

1.不安神経症という病気について家族も理解しよう

家族が感情を患者さんにぶつけると、不安症状がますます悪化します。不安神経症という病気について、家族も理解を深める必要があります。

不安神経症の治療していくに当たっては、患者さんの家族も病気について理解していただくことが重要です。

不安神経症は、日常生活の中でのありふれた不安が尽きない病気です。ですから家族から見ると、もどかしく感じるかもしれません。

「そんな小さなことほっておけばいいよ」
「細かなことだから気にしなくていいよ」

といった具合に、患者さんに伝えること自体は構いません。しかしながら、個々に感情がこもってしまいがちです。

「どうしてそんなことを気にするんだ」
「気持ちを強く持てば不安にならない」

といったように批判的に接してしまうと、本人の不安はますます高まってしまいます。不安神経症の患者さんは、自分自身でも不安を過剰と自覚していることが多いです。ですが、「止めたくても止められない」状態にあるのです。

患者さん自身も、「心配性」や「神経質」なことに悩んでいることが多いです。性格だからと割り切ってしまっている方も多いですが、自分の性格に悩みを感じている方は多いです。まずはそのことを理解していただきたいのです。

家族が患者さんに対して批判的であったり過干渉ですと、不安症状はますます悪化してしまいます。家族の感情表出が高いと、不安神経症は悪化してしまうのです。

ですから、不安神経症という病気を家族も理解することが必要です。

 

2.不安神経症の家族の基本的な接し方

不安神経症だからと構えずに、普段とかわりなく接してください。

不安神経症に限らず精神疾患に対しては、どのように接したらよいかわからないという方が多いです。身体の病気だったら、治るまでは休ませればよいでしょう。しかしながら心の病気は、経験したことがない人にはなかなか想像することができません。

それでは、あなたが不安神経症の患者さんだったら想像して、以下の2つの対応を考えてみてください。

あなただったら、どちらの接し方を望みますか?

ストレスを与えてしまったら病気が悪化してしまうのではないかと、腫れものを扱うかのようにびくびく接してこられたら、どのように感じますか?

「自分のせいで迷惑をかけている」「自分のことはみんな扱いづらいんだ」「これからも気を使われるのかもしれない」といった感じを受けるかと思います。これでは安心感もえられませんし、ますます気分が塞いで不安になってしまいます。

このように想像してみると、「いつもと変わらずに普通に接してくれること」が何より気持ちが楽になりませんでしょうか?自分のことをあまり気遣われたくないというのが、多くの心の病気の患者さんの気持ちです。

ですから不安神経症の患者さんに対しては、「いつもと同じ家族や友人」として接してくれることがもっとも基本的な接し方です。

 

3.不安神経症の接し方で注意すること

不安神経症を支える家族の方が注意すべきことは、家族が疲弊してしまわないことです。また不安神経症によって性格変化がみられることがありますが、症状がコントロールされてくると少しずつ本来の性格が戻ってくることが多いです。

不安神経症の患者さんへの接し方は、基本的には普段通り接することになります。これは多くの病気に共通することではありますが、病気によって家族や友人が気をつけるべきことは少しずつ異なります。

ここでは、不安神経症の患者さんの接し方で注意すべきことをみていきましょう。

不安神経症でもっとも注意すべきことは、家族が自分自身を大切にすることです。冒頭では、患者さんに感情をぶつけてしまうと悪化につながるということをお話しました。しかしながら感情は自然と湧き上がってくるもので、それを無理に押さえつけていくことは大きなストレスになります。

例えばパニック障害のように、強烈な不安におそわれる病気であれば、家族も同情して割り切れる部分もあるかと思います。しかしながら不安神経症では、「ありふれた不安」なのです。病気というよりは性格という気がしてしまい、なかなか割り切れない部分も多いです。

患者さんの家族が疲弊してしまうことはよく見かけます。家族でよく相談して、時には気分転換などを上手にとって患者さんを支えていってください。

 

つぎに不安神経症で注意していただきたいのが、病気によって性格が変わってしまうこともあることです。不安にとりつかれていると、色々なことに敏感になってしまいます。ささいなことに感情的になってしまったり、人間関係に猜疑心をもってしまうこともあります。

ちょっとしたことで自分が攻撃されたと感じてしまい、相手に対して怒りの感情をぶちまけてしまうこともあります。このように不安神経症によって、性格が変わってしまったかのように感じてしまうこともあります。

これはあくまで病気のせいです。しっかりと症状がコントロールされて不安神経症がよくなってくると、少しずつ本来の性格が戻ってくることが多いです。病気のときの本人に対して、ぜひ温かく見守ってください。

 

4.不安神経症の治療のために家族が協力できること

不安神経症の治療について理解を深めて、お薬に対する抵抗感を過度に持たないようにしてください。家族としては、生活習慣を整える手助けをしてあげてください。

それでは不安神経症の患者さんに対して、家族としてどのような協力ができるでしょうか?不安神経症の治療をすすめていくためには、

この2つはとても大切です。この部分で家族が支えていただけると、とても治療がしやすくなります。

まず生活リズムですが、一緒に生活している家族の生活リズムに本人ができるだけ合わせてもらう感覚で接していただくと良いかと思います。薬の眠気があることもあれば、症状がひどくて消耗が激しいこともあります。ですから本人にガミガミいうのではなく、自然と仕向けるような形がよいでしょう。

患者さん本人には目標をもって生活習慣の修正を行っていただきますが、それを家族が支えようとして細かく管理すると失敗します。一緒に望ましい生活習慣を行ってみたり、本人が自発的に行う環境を整えるようにしてサポートしましょう。

また、アルコールやタバコなどの嗜好品にも注意してください。病気によるストレスがかかると、ついついアルコールやタバコに頼ってしまいます。量が少しずつ増えてしまわないように、少なくとも現状維持にとどめるようにしてください。不安が起こりやすくなりますし、薬へも影響が出てしまうことがあります。

 

このような生活でのサポートだけでなく、もうひとつ大切なことがあります。それは、専門家のもとで治療を続けていくサポートです。

家族のなかには、お薬に対して抵抗が強い方も少なくありません。ですが不安神経症を克服するためには、お薬をしっかりと使うことが大切です。現在のお薬は、安全性も高いです。お薬も適切に使えばちゃんと止められますし、後遺症が残るというものでもありません。ぜひ患者さんに、お薬での治療をすすめてください。

また不安神経症は、よくなったからといってお薬を中止してしまうと、再発しやすい病気になります。ですから不安神経症の治療は、じっくりと時間をかけて十分に行っていく必要があります。ご家族の方も、不安神経症を完治するためにも焦らず長い目で治療をしていくことが大切です。

 

5.不安神経症の治療につなげるための家族の接し方

治療につなげることが大切です。そのためには、客観的に明らかな身体症状からアプローチするのがスムーズです。

これまで不安神経症と診断された場合の家族の接し方をみてきましたが、なかには治療につながっていない場合もあるかと思います。もしくは、治療をしていたけれども中断してしまった場合もあるでしょう。そんなときの家族の接し方を考えていきましょう。

不安神経症の患者さんは、自分の心配性や神経質といった性格に苦しみをかかえていても、病院にはなかなか受診をしません。

「病院に行って誰かにみられたらどうしよう」「家族から変に思われてしまっているのではないか」といったように心配してしまいます。

精神科や心療内科の治療に対しても不安や心配が向くことがあり、受診されても、お薬に対して抵抗が強い方は少なくありません。薬を使い始めても、ちょっとした身体の変化(症状とも取れないもの)を副作用とおそれて薬を自己中断してしまうこともあります。

 

不安神経症の治療をすすめていくためには、本人も納得して専門家のもとで治療を行っていくことが大切です。家族からは客観的に見ても明らかな身体の症状を指摘することで、受診をすすめてみてください。

「最近眠気がなかなかとれないみたいだけど、一度睡眠の相談してみたら?」
「最近倦怠感がひどいみたいだけど、心療内科で相談してみたら?」

といった形です。治療にのせることができれば、主治医が少しずつ治療関係を気づいていきます。

なかには、一度受診したけれども嫌になってしまって自己中断してしまった患者さんもいるかと思います。不安神経症の患者さんの診察は、医師にも根気が必要になることがあります。

詳しくは、「全般性不安障害(GAD)の診断基準と実際の診断の流れ」の患者さんの特徴をお読みください。

そういう意味では、不安神経症の患者さんでは医師との相性というのも大切になってきます。詳しくは、「精神科・心療内科クリニックの選び方とは?」をお読みください。

 

まとめ

不安神経症だからと構えずに、普段とかわりなく接してください。

不安神経症を支える家族の方が注意すべきことは、家族が疲弊してしまわないことです。また不安神経症によって性格変化がみられることがありますが、症状がコントロールされてくると少しずつ本来の性格が戻ってくることが多いです。

不安神経症の治療について理解を深めて、お薬に対する抵抗感を過度に持たないようにしてください。家族としては、生活習慣を整える手助けをしてあげてください。