不安神経症をセルフチェックする4つのステップと心理検査

アイコン 2016.7.19 全般性不安障害

今でもよく診断される不安神経症ですが、実のところ、現在は正式には使われない病名となっています。

不安神経症は、不安障害が今のように細かく分類されていなかった時代に、病的な不安である急性不安と慢性不安をひっくるめた病気として診断されてきました。

急性不安は特徴的なので診断もつけやすいのですが、慢性不安はどのような病気でも認められるので診断も難しいです。

今日において不安神経症という診断をつけられるときには、慢性不安が強い患者さんに対してになります。現在の診断基準でいえば、全般性不安障害の患者さんが多いのです。

ここでは、全般性不安障害の診断基準を参考に、不安神経症をチェックしてみたいと思います。不安神経症と診断するべき「病的な不安」かどうか、セルフチェック出来るように試みました。

そして最後に、不安神経症の診断に役立つ心理検査をご紹介していきます。ひとりでも多くの方の気づきになればと思います。

 

1.不安神経症は色々な患者さんが混じっている

不安神経症は、「慢性的な不安があって、治療が必要な不安の病気」をひっくるめたものです。このため不安神経症をチェックするということは、病的な不安かどうかチェックすることになります。

冒頭でお話したとおり、不安神経症は現在は正式な病名ではありません。不安神経症=全般性不安障害というわけでもなく、不安神経症という病気と診断される患者さんは慢性的な不安が強いという共通点があるだけです。

慢性的な不安は、どのような病気にも認められることがあります。例えば、パニック障害の患者さんでは、パニック発作がまた起こってしまうのではと恐れて、不安にとらわれながら生活を余儀なくされている方も少なくありません。それが日常生活の全般にまで不安が広がると、全般性不安障害を合併していると診断されます。

不安神経症という診断では、このように細かくみるのではありません。不安神経症は、「慢性的な不安があって、治療が必要な不安の病気」をひっくるめたものです。ですから、色々な患者さんが入り混じっています。

このように考えると、不安神経症をチェックしていくということは、治療が必要な不安であるかチェックしていくことになります。

慢性的な不安が強い患者さんは、苦しみも長く続きます。日々の生活のなかで上手くいかないことも重なってしまい、うつ病やアルコール依存症などを合併することも多いです。

このため、できるだけ早く精神科や心療内科で治療をしていくことが大切です。ぜひ不安神経症をチェックをしてみてください。

 

2.不安神経症のチェック①-病気かどうか

不安神経症は、治療する意義がある慢性不安のことになります。診断基準上は本人の苦痛や生活への支障があるかどうかになりますが、実際の臨床では客観的に見て行動面に明らかに影響があれば、病気と考えていきます。

まずはじめに、根本的なことから考えていく必要があります。はたして心の病気なのかどうかということです。

とくに不安神経症は、性格の延長線上として考えるべきの正常な「心配性」と、病的な慢性不安と考える「不安神経症」の違いがハッキリとしません。

診断基準であるDSM-Ⅴでは、

このどちらかがある時に病的な不安と考えるべきとしました。確かに、本人が困っていたり支障があれば、それを治療していくべきではありますね。

しかしながら不安神経症の患者さんは、「私はもともと心配性だから…」「私が神経質だからだろう…」といったように、性格の問題と考えていることも少なくありません。不安や心配はあるけれども、本人は何とか日常生活を過ごせていることも多いです。

本人はそこまで困っていないし、表面上は何とか生活に支障なくやれていれば、治療の必要はないのでしょうか?

例えば心配性のお母さんの中には、子供のささいなことが心配になってしまって、周りの人がビックリするくらい口を出し過ぎてしまっているかもしれません。子供の授業参観の日に、早朝から身支度に異常に時間がかかったりしているかもしれません。

これらを本人が当たり前と思っていれば、本人に苦しみは起こりません。しかしながら第三者から客観的にみれば、明らかに病気のせいで行動に影響が出ています。ですが本人の生活に支障までは至っていませんね。

ですから、客観的に見て行動面に異常があれば、病気として治療していく必要があります。

 

3.不安神経症のチェック②-過剰な不安や心配

日常生活の様々な出来事や活動で、過剰に不安や心配があります。自分でも、過剰だという認識はある方がほとんどです。

不安神経症の慢性不安とは、日常生活での過剰な不安や心配になります。

「過剰な」というところがとても曖昧ですが、常識的に判断していきます。日常生活の様々な出来事や活動に対して、不安と心配に悩まされているかどうかです。実際の不安神経症の患者さんは、不安と心配に毎日悩まされている方が多いです。

例えば、納期に追われている仕事があったとします。急に上司に、「いつでもいいから〇〇やっておいて」と頼まれたら、心配で後回しにはできなくなってしまいます。

本来ならば後回しにできることを、不安や心配のせいで先にやらないと気が済まなくなったりします。

このように不安なこととしては、例として仕事や学業があげられます。それ以外にも様々なことが心配となります。年齢によっても傾向があって、日常生活での様々な出来事に対して過剰な不安や心配がみられます。

このように過剰な心配がある方は、「大丈夫だとは頭でわかっているんだけど心配で…」といったように、自分でも過剰だという認識がある患者さんも多いです。頭では分かっててもできないと感じてはいても、自分が病気とは思っていない方が多いです。

 

4.不安神経症のチェック③-精神や身体の症状

不安神経症では、過剰な不安や心配に基づいた様々な症状が認められます。精神症状や身体症状が認められることをチェックしてみましょう。

不安神経症の患者さんでは、過剰な不安や心配から様々な精神症状や身体症状、自律神経症状が認められます。

精神症状としては、

身体症状としては、

自律神経症状としては、

正常な不安が強まれば、これらの症状は多少なりとも認められます。しかしながら、不安が過ぎ去ればなくなります。

不安神経症の患者さんでは慢性的な不安が強いため、これらの症状が続くことが多いです。これらのなかで比較的症状として特徴的なものは、「緊張感・過敏」と「筋緊張」の2つといわれています。

 

5.不安神経症のチェック④-他の病気でないこと

不安神経症は、不安を本質とする病気になります。うつ病などの他の病気が先立っていないことをチェックしましょう。

慢性的な不安は、他の病気でも認められることがあります。

例えばうつ病でも、集中力低下や決断力低下から身の回りのことに自信がなくなってしまい、日常生活のいろいろなことに不安が高まってしまうことはあります。

不安神経症は、その病気の本質は不安にあるという意味合いが強いです。不安が先にあって、不安をかかえながらの苦しみの中でうつ状態になることもあります。その場合は不安神経症と診断されるでしょう。しかしながらうつ病が先にある場合は、不安神経症と診断はされません。

慢性不安の病気である全般性不安障害では、他の病気で説明できないような慢性不安が認められた場合、全般性不安障害が合併したと考えることもあります。不安神経症と診断されるときには、先ほどのケースではうつ病とだけ診断されるかと思います。

このため、うつ病などの他の病気が原因ではないことが必要になります。

 

6.不安神経症を心理検査からセルフチェック

これまでは全般性不安障害の診断基準を参考に、不安神経症のセルフチェックを試みてきました。

不安神経症と診断されるときには、病気の本質が不安にある患者さんに対してです。そして多くの患者さんで、慢性的な不安が強いです。

その不安の程度を客観的に評価するために、心理検査も作られています。ですから心理検査によって不安の強さが数値にできると、不安神経症かどうかをチェックする一つの材料になります。

ここでは、全般性不安障害のスクリーニング検査として開発されたGAD-2とGAD-7、不安の程度を評価するSTAIをご紹介していきます。

 

6-1.GAD-2・GAD-7

全般性不安障害のスクリーニング検査になります。

GAD2・GAD-7(Generalized Anxiety Disorder questionnaire2・7)は、全般性不安障害のスクリーニング検査として作られました。病的な慢性的な不安があるかどうかをスクリーニングすることができます。

GAD-7は、質問項目は7つあります。0~3の4段階で点数をつけて、27点満点のうち8点以上(文献によって7~10点)であれば不安神経症が疑われます。

それにたいしてGAD-2は、GAD-7のはじめの2つの質問のみを取り出したものです。点数のつけ方は同じで、3点以上であれば不安神経症が疑われます。

GAD-7の感度は89%(病気の人を検出できる確率)・特異度82%(病気じゃない人を除外できる確率)と、とても高いです。質問数の少ないGAD-2でも感度76%・特異度81%となっていますので、とても有用な検査です。

実際にGAD-2・GAD-7を行ってみたい方は、「GAD-2とGAD-7で不安神経症をチェック」をご覧ください。

 

6-2.STAI(状態-特性不安検査)

不安へのなりやすさと現在の不安を点数化する心理検査です。

STAIは不安神経症に限った検査ではありませんが、不安の程度を評価するのによく使われている心理検査です。

不安は、特性不安と状態不安に分けることができます。特性不安とは、もともとの不安へのなりやすさが反映されます。状態不安とは、現在感じている不安の強さが反映されます。

それぞれ20項目の合計40項目に対して、4段階で自分にあてはまる状態を選んでいきます。全部で80点満点で評価し、男性と女性では評価基準が多少異なります。

実際にSTAIを行ってみたい方は、「不安障害や神経症をSTAI(状態-特性不安検査)でチェック」をご覧ください。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

不安神経症はさまざまな状態の患者さんが混じって診断されています。不安神経症と診断されるということは、治療が必要な病的な不安があることを意味していて、多くの患者さんが慢性的な不安をかかえています。

不安神経症の患者さんは何らかの精神疾患を合併しやすく、重症化や慢性化することも多いです。

ですから不安神経症のセルフチェックで疑われた方は、心療内科や精神科をぜひ受診してください。しっかりと専門家に判断してもらい、必要な治療をうけてください。

精神科の受診が心配な方は、「精神科の受診のイメージと流れ」をお読みください。