全般性不安障害の症状とは?心配性や神経質との違いとは?

アイコン 2016.7.4 全般性不安障害

全般性不安障害とは、日常生活でのさまざまな出来事に対して、過剰に不安や心配をしてしまう病気です。

このように、全般性不安障害の中心症状は「不安」と「心配」です。しかしながら不安や心配のない人なんていませんよね。どこからが過剰で、どこまでが正常なのかが分かりづらい病気なのです。

他の人よりも色々なことを気になる人のことを「心配性」や「神経質」といったりするかと思います。全般性不安障害の患者さんは、本人も周りも「性格の問題」と片付けてしまうことが少なくないのです。

しかしながら全般性不安障害は、不安や心配が慢性的に持続し、ストレスから身体症状や精神症状が生じる病気です。とりとめもない不安や心配に絶えず悩まされているので、非常につらい病気です。

全般性不安障害の患者さんは、このような慢性的な経過の中で様々な精神疾患を合併します。ですから、全般性不安障害の症状を知って、早くから治療につながることが大切です。

ここでは、全般性不安障害の症状について詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

1.全般性不安障害の中心症状―慢性的な不安や心配

全般性不安障害は、日常生活での漠然として不安や心配が絶え間なく続く病気です。それによって身体症状や精神症状につながり、不安が悪循環していきます。そして少しずつ、生活への妨げが大きくなっていきます。

日常生活では誰でも、不安や心配になることがあります。

「テストの結果が心配だ」
「大事なお客さんとの商談がうまくいくか心配だ」
「健康診断の結果が悪かったから病気なのか心配だ」
「今の給料ではこれから生活できるか心配だ」

こういった不安や心配には、何らかの理由があることがほとんどだと思います。

ですが全般性不安障害では、特に大きな理由や根拠もなく不安が強くなってしまいます。そして多くの場合、いつから病気がはじまったのかもはっきりしません。

周囲からみたら些細なことに対して、過度に不安や心配が付きまとうようになります。本人もバカバカしいと感じていることもありますが、不安をコントロールすることができなくなっていきます。

本来不安は、危険を察知したときの自然な反応であり、感じたときには心身が緊張し、交感神経優位の警戒態勢となります。通常であれば、安全を確認すると不安は去り、副交感神経が働いて心身はリラックスできるようになっています。

ところが、全般性不安障害においては、その不安が必要以上に強く働きます。不安を感じる対象も広く生活全般にわたり、起こってもいないことについての心配が止まりません。

このように全般性不安障害では、心身は警戒態勢をゆるめるヒマも無いまま過剰に緊張してしまい、不眠やイライラ、集中力の低下、筋肉の過緊張による頭痛や肩こり、吐き気、めまいなどの自律神経症状が起こります。

これらの精神症状や身体症状によって、さらに不安が強くなるという悪循環となり、不安が慢性化していきます。

このようにして日常生活の様々なことへ不安が広がり、生活への支障がでてきます。不安や心配が心を占めてしまって集中できなくなります。仕事や家事が手につかなくなってしまったり、心配ごとで眠れなくなったりします。

ひどくなってくると、仕事や日常生活が普通におくれなくなってしまうこともあります。ストレスにもさらされ続けているので、うつ病などを合併してしまうことも多いのです。

 

全般性不安障害の症状について

 

2.全般性不安障害と心配性・神経質の違いとは?

①本人の苦しみが深かったり、日常生活に支障がでている②不安によって行動が影響を大きく受けている③身体症状や精神症状が認められる

このように全般性不安障害の不安は、漠然としていて身のまわりのことになります。パニック障害や社交不安障害といった対象が明確な不安(恐怖)と違って、「誰にでもある不安」になります。

ですから病的な不安とは感じられずに、「他のひとよりも心配性」や「ちょっと神経質」といったように受け止められがちです。本人としても、「自分は心配性な性格」と思っていることも少なくありません。

それでは全般性不安障害と、心配性や神経質の違いとはどのようなものでしょうか?この違いは、治療するべき不安なのかどうかということになります。

全般性不安障害では、その不安や心配は明らかに普通の人よりも強いです。具体的に例をあげてみましょう。

などがあります。程度が軽ければ正常な人にでも起こりうるものですが、強く慢性的になって心身の不調をともなうようになると、病的な不安とされます。

全般性不安障害の患者さんにおいては、このような不安がいくつも渦巻いていて、常に何かを心配しています。他の不安障害や精神疾患で起こる病的な不安に比べ、範囲が広く漠然として対象が定まらないのが特徴です。なかには、「また心配になるのではないか」ということを心配する患者さんもいます。

 

このように全般性不安障害では、心配性や神経質といった性格を超えた過剰な心配や不安が認められます。その違いは、大きく3つのポイントがあります。

大きな理由や根拠もないのに悲観的な心配をしています。本人の苦しみもありますし、仕事や家事などの日常生活にも支障が出てしまうのです。

本人が自覚していなくても、心配事をさけるために活動をしなくなったり、不安のために準備に必要以上の時間がかかってしまったりします。一見すると生活への支障がなくても、行動に大きな影響を及ぼしていることがあります。

また普通の不安では身体症状などは認められませんが、全般性不安障害では様々な精神症状や身体症状が認められます。この点については、後ほど詳しくお伝えしていきます。

セルフチェックしていきたい方は、「あなたの心配性は「心配症」?治療が必要な心配性のチェック」をお読みください。

 

3.全般性不安障害でみられる精神症状と身体症状

全般性不安障害では、さまざまな精神症状や身体症状が認められます。しかしながら他の多くの病気でも認められる症状で、診断基準としては6つの症状(厳密には2つの症状)が重要とされています。

全般性不安障害では、慢性的に続く不安によって様々な心身の症状が生じます。心も体もはりつめて、様々な自律神経症状も認められます。

ここでは、精神症状と身体症状に分けてみていきましょう。

①全般性不安障害の精神症状

日常生活にとりとめない不安や心配が続くようになると、精神的にも緊張が続くことになります。

神経が過敏になってしまって、ちょっとしたことに動揺したりしてしまいます。ソワソワして落ちつかなくなってしまったり、集中ができずに頭が真っ白になってしまうこともあります。

このように張りつめた状態が続くと、エネルギーを使って疲れやすくもなります。倦怠感なども感じやすくなります。

このようなストレスに加え、夜にも考え事をしてしまうことで、睡眠障害が認められることも多いです。寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めてしまったり、眠りが浅くなってしまったりします。

後述しますがこれらが続くことで、うつ病やパニック障害、アルコール依存症など様々な精神疾患を合併していくことも多いです。

②全般性不安障害の身体症状

全般性不安障害の身体症状としては、大きく2つに分けられます。

自律神経症状としては、様々な症状が認められます。呼吸困難、動悸、発汗、口の渇き、めまい、吐き気、腹痛、体感異常、喉の異物感など、全身に認められます。

また、身体の筋肉も過緊張になります。筋肉の緊張によって肩こりや頭痛・腰痛などの身体の痛み、身体の震えやけいれんなどが認められます。

このため、身体も疲れやすくなります。

③全般性不安障害の診断に重要な症状

全般性不安障害の精神症状と身体症状について一覧表にしました。

これまで、全般性不安障害で認められる精神症状と身体症状についてみてきました。

これらの症状をみていただくと、他の病気でも認められる症状が多いかと思います。全般性不安障害は慢性的な不安による症状なので、どうしても特徴がないのです。

その中でも、他の病気との見分けるポイントになる症状として、診断基準では6つの症状を取り上げています。そのうち3つ以上が認められることを、全般性不安障害の診断基準としています。

このうちでも、「落ちつきのなさ・緊張感・過敏」と「筋肉の緊張」の2つが重要といわれています。

 

4.全般性不安障害の合併症と症状経過

発症時期ははっきりせず、年単位で慢性的な経過をたどります。全般性不安障害はなかなか病気と認識されず、長い苦しみの中で様々な精神疾患を合併することがあります。

全般性不安障害は、日々の日常生活に不安や心配が絶え間なく続くので、非常につらい病気になります。

しかしながらその不安は、ハッキリした特徴がありません。このため病気というよりは、心配性や神経質などといった自分の性格の問題と思いこんでしまう方も多いです。

いつから発症したかもはっきりせず、「昔から神経質でした」「何となく20代から不安なことが多くなってきた」などとおっしゃる患者さんが多いです。病院に受診されるのは中年が多いので、なかなか受診につながらない病気です。

全般性不安障害は一般的にあまり知られていないため、身体の症状から内科などを受診される場合も多いです。すると自律神経失調症や更年期障害などと診断され、不安障害として治療されないことも多いです。

このようにして不安の病気と分からずに、波をうちながら少しずつ悪くなっていきます。不安が落ちつく時期もあるため、「気持ちの持ちよう」「性格の問題」などと本人のなかでも考えがちになります。

 

このように全般性不安障害は、少なくとも数年単位で慢性的な経過をたどることが多い病気です。このため、経過のなかでさまざまな合併症が認められます。

うつ病や気分変調症といった気分障害、パニック障害や社交不安障害といった不安障害、アルコール依存症などになります。また長い苦しみの中で性格傾向が偏り、それが固まってパーソナリティ障害となることもあります。

反対に、様々な精神疾患がきっかけになって全般性不安障害を合併することもあります。精神疾患の苦しみから、生活の全般に不安が広がってしまうことがあるのです。

このように精神疾患が合併してしまうと、なかなか治療が難しくなっていきます。症状も重たくなることが多いです。合併症に困って病院に受診し、全般性不安障害の合併が分かることも少なくありません。

 

まとめ

全般性不安障害は、慢性的な不安や心配という漠然とした症状を中心とする病気です。このためなかなか病気に気づかず、受診までに時間がかかってしまうことが多いです。

そのような慢性的な傾向の中で、様々な精神疾患を合併してしまうことがあります。ですから早めに病気と気づき、適切な治療をしていく必要があります。

心配性や神経質な性格と思い込んでいる方は、自分の不安を見直してみてください。もしも不安に深く悩んでいたり、生活に支障があるならば、一度精神科や心療内科でぜひ相談してみてください。

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