全般性不安障害をセルフチェックする4つのステップと心理検査

アイコン 2016.7.9 全般性不安障害

全般性不安障害とは、日常生活の様々なことに対して過剰な心配や不安をしてしまう病気です。

全般性不安障害の中心症状は慢性的な不安になるのですが、これは多くの病気で見られる症状です。このため全般性不安障害は、病気としての考え方がハッキリとしていません。

このため診断基準も改訂とともに変化している病気です。最新の診断基準であるDSM-Ⅴも、草案の段階ではいろいろと改訂が検討されていましたが、結局大きな変更は行われませんでした。このような病気なので、医師によっても診断がバラバラになりやすい病気です。

全般性不安障害かどうか診断する目的は、「病的な不安と考えて治療をしていくこと」にあります。

「私は不安が強すぎるかもしれない」と悩まれていたとしても、いきなり精神科や心療内科を受診するのは躊躇ってしまうかと思います。ここではそのような方が、全般性不安障害と診断するべき「病的な不安」かどうか、セルフチェックできるように試みました。

最近改訂されたばかりのアメリカの診断基準(DSM‐Ⅴとその草案)をもとに、順序立てて全般性不安障害かどうかをチェックしていきましょう。そして最後に、全般性不安障害の診断に役立つ心理検査をご紹介していきます。ひとりでも多くの方の気づきになればと思います。

 

1.全般性不安障害は受診までに時間がかかる病気

全般性不安障害は、受診までに時間がかかる病気です。精神科や心療内科に受診しても、医療に対する過剰な心配から通院を中断されてしまうこともあります。慢性的な不安から合併症につながることも多いので、早く治療を受けることが大切です。

全般性不安障害は、慢性的な不安を特徴とする病気です。慢性的な不安は非常に漠然としていて、病気としての輪郭がはっきりしない病気でもあります。

この2つが問題となります。この考え方が、診断基準でもまだ定まっていないというのが現状です。詳しく知りたい方は、「全般性不安障害(GAD)の診断基準と実際の診断の流れ」をお読みください。

このように病気としての輪郭が定まっていないので、全般性不安障害の有病率などの統計もまちまちです。しかしながら共通していえることは、全般性不安障害は受診するまでに時間がかかることです。

医療機関に受診するのは中高年の女性が多いです。しかしながら多くの調査では、20~30歳での発症が多いのです。他の不安障害よりも発症年齢は高めですが、私たち精神科医がイメージするよりも若くして発症しているのです。

つまり全般性不安障害は、受診までに時間がかかる病気といえます。心配性との違いがはっきりしないこともありますし、病院に受診するにしても内科などの身体科が多いです。精神科に受診されても、通院や治療に対して過剰に心配してしまうことも少なくありません。

これから全般性不安障害のセルフチェックについてご紹介していきます。この記事を読まれている方は、「自分は全般性不安障害かもしれない」と感じられている方か、「家族が全般性不安障害かもしれない」と感じられている方かと思います。

全般性不安障害という病気は慢性的に苦しみが続くので、合併症もとても多い病気になります。このため、できるだけ早く精神科や心療内科で治療をしていくことが大切です。ぜひ全般性不安障害をチェックをしてみてください。

 

2.全般性不安障害のチェック①-病気かどうか

全般性不安障害は、治療する意義がある慢性不安のことになります。診断基準上は本人の苦痛や生活への支障があるかどうかになりますが、実際の臨床では行動面から明らかに影響があれば、病気と考えていきます。

まずはじめに、根本的なことから考えていく必要があります。はたして心の病気なのかどうかということです。

とくに全般性不安障害は、性格の延長線上として考えるべきの正常な「心配性」と、病的な慢性不安と考える「全般性不安障害」の違いがハッキリとしません。

最新の診断基準であるDSM-Ⅴでは、

このどちらかがある時に病的な不安と考えるべきとしました。確かに、本人が困っていたり支障があれば、それを治療していくべきではありますね。

しかしながら全般性不安障害の患者さんは、自分が心配性だという自覚はあっても、それを病気だと思うほどに苦しんでいることは少ないのです。患者さんに尋ねると、「私は昔から神経質でして…」といった形で性格と考えていることも多いです。

本人はそこまで困っていないし、表面上は何とか生活に支障なくやれていれば、治療の必要はないのでしょうか?

例えば心配性のお母さんの中には、子供のささいなことが心配になってしまって、周りの人がビックリするくらい口を出し過ぎてしまっているかもしれません。子供の授業参観の日に、早朝から身支度に異常に時間がかかったりしているかもしれません。

これらを本人が当たり前と思っていれば、本人に苦しみは起こりません。しかしながら第三者から行動面をみれば、明らかに病気のせいで行動に影響が出ています。ですが本人の生活に支障までは至っていませんね。(子供の教育という意味では支障があるかもしれませんが…)

その点を考慮してDSM-Ⅴの草案では、以下のうち1つ以上が認められることを診断基準として検討していました。

つまり、回避行動や準備や決断に明らかに時間がかかったり、誰かに「大丈夫だよ」という保証を求めてしまうという行動面をみていこうとしたのです。

ですから第三者からみて行動面に異常があれば、病気と考えて治療していくべきです。

 

3.全般性不安障害のチェック②-過剰な不安や心配

日常生活の様々な出来事や活動で、過剰に不安や心配があります。自分でも、過剰だという認識はある方がほとんどです。

全般性不安障害の中核症状は、過剰な不安や心配になります。

「過剰な」というところがとても曖昧ですが、常識的に判断していきます。日常生活の様々な出来事や活動に対して、不安と心配に悩まされているかどうかです。実際の全般性不安障害の患者さんは、不安と心配に毎日悩まされている方が多いです。

例えば、納期に追われている仕事があったとします。急に上司に、「いつでもいいから〇〇やっておいて」と頼まれたら、心配で後回しにはできなくなってしまいます。

本来ならば後回しにできることを、不安や心配のせいで先にやらないと気が済まなくなったりします。

このように不安なこととしては、例として仕事や学業があげられます。それ以外にも様々なことが心配となります。年齢によっても傾向があって、日常生活での様々な出来事に対して過剰な不安や心配がみられます。

このように過剰な心配がある方は、「大丈夫だとは頭でわかっているんだけど心配で…」といったように、自分でも過剰だという認識がある患者さんも多いです。頭では分かっててもできないと感じてはいても、自分が病気とは思っていない方が多いです。

 

4.全般性不安障害のチェック③-精神や身体の症状

全般性不安障害では、過剰な不安や心配に基づいた様々な症状が認められます。精神症状や身体症状が認められることをチェックしてみましょう。

全般性不安障害の患者さんでは、過剰な不安や心配から様々な精神症状や身体症状が認められます。

診断基準では、以下の6つの症状のうち3つ以上が認められることとされています。

はじめの4つは精神症状、最後の2つは身体症状になります。それ以外にも全般性不安障害では、動悸やめまいといった自律神経症状もみられます。しかしながら自律神経症状は他の病気でも一般的に認められるので、特徴的でないとして診断基準には含まれていません。

さらにいえば、全般性不安障害に比較的症状として特徴的なのは「緊張感・過敏」と「筋緊張」の2つという報告もあります。精神症状と身体症状があることをチェックしましょう。

全般性不安障害をチェックするためだけでなく、症状は今後治療していくことになるので、しっかりとチェックしてみましょう。

 

5.全般性不安障害のチェック④-他の病気でないこと

全般性不安障害の診断で意見がもっとも分かれるのが、他の病気との考え方です。他の病気を発症していても、慢性的な不安が病的であれば全般性不安障害の合併と診断するのが、現在の診断基準です。

全般性不安障害が他の病気ではないか、その判断は専門家でないと難しいです。さらにいえば、専門家でも意見が分かれるところになります。

全般性不安障害の中心症状である慢性的な不安や心配は、他のどの病気でも認められるものになります。うつ病の患者さんであれば、気持ちが落ちこんでいて色々なことが悲観的に見えます。そんな中で不安が強くなることは一般的によくあります。

これらはうつ病のひとつの症状と考えるのが一般的でした。ですが、抑うつ気分が改善した後でも日常生活に不安が強いことが続く場合はいかがでしょうか?軽度の抑うつ気分が続いていたとしても、慢性的な不安が目立つようになった場合はいかがでしょうか?

最新の診断基準では、「他の精神疾患ではうまく説明されない」という形になっていますので、これらの場合は全般性不安障害が合併したと考えることができます。「うつ病の重症度にすぎない」という意見もありますが、私は不安を治療するという意味でも、合併症と診断すべきと考えています。

ですが過剰な不安や心配が、他の精神疾患だけで説明できることもあります。

例えば、「他人から悪く評価されるのではないか」という恐れから、仕事や学業でささいなことに心配になる場合は社交不安障害で説明できます。「鍵をしめわすれたかもしれない」という考えが急に頭から離れなくなって、何度も家に言って確認してしまう時は強迫性障害で説明できます。

これらに関係する不安や心配だけで説明がつくときは、全般性不安障害と診断はしません。ただ、これらの病気と合併することもあります。もともと人から評価されるのを苦手としていたことが、少しずつ広がって日常生活に不安が広がっていくこともあります。

 

6.全般性不安障害を心理検査からセルフチェック

これまでは全般性不安障害の診断基準をもとに、セルフチェックを試みてきました。

全般性不安障害にも、客観的に症状を評価するための心理検査も作られています。ただ、全般性不安障害は慢性不安という特徴の少ない病気なので、心理検査は少ないです。

ここでは、全般性不安障害のスクリーニング検査として開発されたGAD-2とGAD-7、不安の程度を評価するSTAIをご紹介していきます。

 

6-1.GAD-2・GAD-7

全般性不安障害のスクリーニング検査になります。

GAD2・GAD-7(Generalized Anxiety Disorder questionnaire2・7)は、全般性不安障害のスクリーニング検査として国際的なうつ病や不安に関する学術グループ(international consensus group on depression and anxiety)によって作られました。

GAD-7は、質問項目は7つあります。0~3の4段階で点数をつけて、27点満点のうち8点以上(文献によって7~10点)であれば全般性不安障害が疑われます。

それにたいしてGAD-2は、GAD-7のはじめの2つの質問のみを取り出したものです。点数のつけ方は同じで、3点以上であれば全般性不安障害が疑われます。

GAD-7の感度は89%(病気の人を検出できる確率)・特異度82%(病気じゃない人を除外できる確率)と、とても高いです。質問数の少ないGAD-2でも、感度76%・特異度81%となっていますので、とても有用な検査です。

実際にGAD-2・GAD-7を行ってみたい方は、「GAD-2とGAD-7で全般性不安障害をチェック」をご覧ください。

 

6-2.STAI(状態-特性不安検査)

不安へのなりやすさと現在の不安を点数化する心理検査です。

STAIは全般性不安障害に限った検査ではありませんが、不安の程度を評価するのによく使われている心理検査です。

不安は、特性不安と状態不安に分けることができます。特性不安とは、もともとの不安へのなりやすさが反映されます。状態不安とは、現在感じている不安の強さが反映されます。

それぞれ20項目の合計40項目に対して、4段階で自分にあてはまる状態を選んでいきます。全部で80点満点で評価し、男性と女性では評価基準が多少異なります。

実際にSTAIを行ってみたい方は、「不安障害や神経症をSTAI(状態-特性不安検査)でチェック」をご覧ください。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

全般性不安障害は、なかなか患者さんが自ら受診していただけず、受診しても診断されにくく、治療にもうまくつながりにくい病気です。

全般性不安障害の診断は専門家でも意見がわかれる難しい病気です。ですが、全般性不安障害の患者さんは何らかの精神疾患を合併しやすく、重症化や慢性化することが多い病気です。

ですから全般性不安障害のセルフチェックで疑われた方は、心療内科や精神科をぜひ受診してください。しっかりと専門家に判断してもらい、必要な治療をうけてください。

精神科の受診が心配な方は、「精神科の受診のイメージと流れ」をお読みください。